【令和2年7月豪雨】豪雨による浸水を大牟田市で経験してわかったことや、備えのメモ
2020年7月3日以降「令和2年7月豪雨」では、九州を中心に中部地方にかけて記録的な豪雨が降り続き、甚大な被害をもたらしています。7月29日にも、山形県の最上川が豪雨によって氾濫したというニュースを見たばかりです。
気象庁によると、全国のアメダスで観測した7月上旬の降水量の総和は、1982年以降の旬ごとで最大だった2018年7月の「平成30年7月豪雨(西日本豪雨)」の記録を更新しています。また、対象地点の1時間降水量50mm以上を記録する雨の発生回数も、2019年10月中旬「令和元年東日本台風」を大きく上回っています。
池の石橋と化したブロック塀
大牟田市では7月6日から7月7日にかけて線状降水帯による集中豪雨が直撃し、経験したことのない洪水災害に襲われました。
それから3週間が経った大牟田市内の町並みは、一見すると大災害にあったことが嘘のようにも思えます。しかし、家財が外に出されたままのお家があったり、内部はめちゃくちゃで住める状況になかったりと、浸水被害の傷跡は深く、普段の生活を取り戻すには、まだまだ時間がかかりそうな状態です。
わたしも3週間ほどは片付けや床下の乾燥に費やし、ようやく修理に入れた段階ですが、記憶が確かなうちに備忘録を残しておきたいと思います。被災時にはさまざまな方の情報に助けられましたので、この記事も災害への備えや、復興を目指す方々の一助となれば幸いです。
この記事の目次
水災状況について
2020年7月6日から7月7日にかけての水災状況をみていきます。
大牟田市の被災時の天候状況
福岡県の過去の雨雲レーダー(2020年07月06日) – 日本気象協会 tenki.jp
大牟田市の7月6日の雨雲レーダーでは、線状降水帯の影響により、赤や紫色の不穏な影が何度も大牟田市を覆っています。線状降水帯は積乱雲が列をなし、局地的な集中豪雨が長い時間続くものです。天気予報を逐一チェックしていましたが、数十分先の予報をも上回る降水量が続きました。
6日は朝から雨が降り続いていましたが、14時過ぎごろから視界をさえぎるほどの凄まじい雨が降り始めます。みるみる道路は冠水しだし、夕方ごろには道路から1mほどの高さがある自宅玄関まで雨水が浸水。結果、床上70cmほどの浸水被害を受けました。
午前0時を過ぎても雨が止む気配はなく、大牟田市の7月6日の降水量の合計は388.5mm、1時間の最大降水量は74mm、7月7日の降水量の合計は273mm、1時間の最大降水量は51mmとまさに豪雨が続く二日間でした。
大牟田市の被害状況
今回の水害の多くは、川の氾濫が原因となる外水氾濫ではありません。降り続く豪雨によって下水道や排水路が許容量を超え、溢れた雨水が建物や道路に溜まる「内水氾濫」と呼ばれるものです。
『令和2年7月豪雨による被害状況等について[PDF]』によると、大牟田市は29日時点で死者2名、重傷者1名、軽傷者3名、床上浸水1079戸、床下浸水1719戸にのぼります。被害状況からもわかるように、これまでに経験したことがない災害です。
これほどまでに大規模な内水氾濫を引き起こした要因として、三川ポンプ場の停止の影響が指摘されています。
福岡 大牟田 豪雨で被災のポンプ場が復旧 今後に備え対策強化 | NHKニュース(リンク切れ)
自宅の浸水被害状況
道路から床上まで1m程度の高さがあるため、1.7mほどまで水位が上昇したことになります。大人でも飲み込まれるほどの浸水深です。
1階部分の床はもちろん、畳はバッコバコ浮き出し、ウォシュレットは浸水して故障、給湯器や室外機も基盤がやられてお湯が出ず、ドアは木材が水を吸い込み変形して開閉できない箇所が多数、洗面所も浴槽もキッチンも……なんというか1階部分はすべてダメになりました。
災害の備え
災害はいつ起こるかわかりません。命を守るためにも可能な限りの備えをしておくことが大切です。ありきたりな言葉ではありますが、本当にこれに尽きます。
ハザードマップの確認
災害に備え、お住まいのハザードマップを確認しておきましょう。ハザードマップは土砂崩れなどの危険地域も表しています。高台に住んでいる方も一度は目を通しておくことをおすすめします。
「大牟田市洪水ハザードマップ(リンク切れ)」は、福岡県が平成19年に作成した堂面川洪水浸水想定区域図と、平成20年に作成した諏訪川洪水浸水想定区域図等を参考に、平成21年に作成したものです。
「大牟田市防災ハザードマップ(令和2年6月発行)」は福岡県が令和2年6月に作成した、比較的新しいハザードマップです。こちらも諏訪川氾濫が想定されています。平成21年に作成されたハザードマップでは浸水想定区域が「2m以上3m未満」までの記載でしたが「5m以上10m未満」まで広がっています。
「地理院地図|国土地理院」では住所やキーワードなどを入力すると、「+」部分の標高が左下に表示されます。
また、「今、ここは標高何メートル?~スマートフォンで一発表示!地理院地図がより便利に~ | 国土地理院」にもあるように、スマホでもGPS機能を有効にすれば、現在地の標高を調べるのも簡単です。お住まいの地域がどれくらいの標高なのか、ハザードマップとあわせて確認しておきましょう。
標高と海抜の違い
「標高」は、東京湾平均海面を0mとして高さを測ったものです。「海抜」は近くの港湾などの平均海面を基準として表しますが、一般には標高と同じように扱われます。
避難所・避難経路の確認
避難所について – 内閣府防災
ハザードマップから各避難所や避難経路を確認しておきましょう。避難所にも4つの種類(避難所について:よくある質問 / 大牟田市)があります。
避難勧告が廃止
2021年5月20日より、国は災害時の避難の目安となる避難勧告と避難指示の2つを「避難指示」に一本化しました。
警戒レベルを5段階に分け、レベル1「早期注意情報」・レベル2「大雨・洪水・高潮注意報」・レベル3「高齢者等避難」・レベル4「避難指示」・レベル5「緊急安全確保」の区分けとなります。レベル1と2は気象庁が発表し、レベル3以上は各自治体が出す避難情報です。
避難指示の段階までに在宅避難も含め、安全な場所へ避難します。レベル5の「緊急安全確保」ではすでに災害が発生している可能性があるため、避難場所への移動よりも身の安全の確保を優先しましょう。
- 自主避難所
- 台風接近等、知人や親類の家などの安全な場所を、事前に自分で確保できない方のために開設。飲料水、食事、寝具等はなく各自準備が必要。
- 指定避難所
- 市が法令に基づき「高齢者等避難」「避難指示」の際に開設。一定期間滞在でき、食料など必要最低限の生活物資が支給される。
- 指定緊急避難場所
- 切迫した災害の危険から逃れるために「緊急」に「一時的」に避難するための施設。指定避難所開設時に開設。指定緊急避難場所に避難した後は、状況に応じて、速やかに指定避難所に移動する。
- 福祉避難所
- 障害のある人や介護認定を受けた人など一般の指定避難所では避難生活に支障がある人のための避難施設。指定避難所開設時に開設。
環境省の『 人とペットの災害対策ガイドライン[PDF]』によると、災害時のペットの安全の確保は、飼い主の責任となっています。そのため、避難が必要な状況では「同行避難」が基本です。
以前は原則、避難所へのペットの持ち込みはできませんでしたが、受け入れが可能な避難所も用意されるようになりました。ただし、大牟田市の「市内の自主避難所・指定避難所・福祉避難所 / 大牟田市」にあるように、ペットの持ち込みが可能な避難所は限られており、込み具合によっては受け入れ不可となる場合も。避難所では多くの方が避難し、共同生活をします。動物アレルギーや騒音によるトラブルを避けるため、大牟田市に限らずペットの受け入れができる避難所は制限があるのです。
各自治体でルールが異なることがありますし、災害の状況によって避難所の対応が変わることも考えられます。「豪雨災害でペットはどうする? 全国初と言われたペット同伴避難所の実態とは」の記事では、ペット同伴の避難所が設けられた全国でも珍しい例が紹介されていました。大牟田市でもペット持ち込み可能な避難所の情報を拡充し、災害時のペットの避難問題をできるだけ解決するよう対応されているようです。
飼い主さんにとってはペットは家族も同然です。事前にペット持ち込み可能な避難所の把握や、ペットの預け入れ先の相談、緊急時の対応を確認しておきましょう。令和2年7月豪雨では「福岡県獣医師会から被災動物の受入れ支援(リンク切れ)」が行われていました。
今回の豪雨では、みなと小学校が「自主避難所/指定避難所」に指定されていましたが、まわりの道路が冠水し、孤立状態となったため自衛隊の要請が出されました。
4階建てですし、強固な作りではあるため避難場所としては適しているとは思います。しかし、備蓄が用意されていないなど、避難所としての対策が十分ではなく、今回は対応できませんでした。避難経路においても、災害の状況によって通行止めで通れない場合もあります。イレギュラーに対応するためには、事前に避難所の特徴や複数の避難経路を確認し、臨機応変に行動できる選択肢を持つことが必要なのかもしれません。
「大牟田市 防災専用ホームページ 防災リアルタイム情報」では、 大牟田市内の避難情報や避難所、通行止め、河川のカメラ画像等をマップで確認できます。反映の誤差は考えられますが、最新に近い総合的な情報を把握可能です。
情報の収集
X(旧Twitter)はポスト(テキストの投稿)しなくても、最新情報の収集に便利です。特に災害時はリアルタイムで情報が更新されるXが頼りになります。ただし、公式のもの以外は信憑性が低い情報もありますので、鵜呑みにせずに総合的に判断しましょう。
※2023年6月30日頃からアカウントを作成していないと時系列を閲覧できなくなりました。事前にアカウントを作成しておくことをおすすめします。アカウントをお持ちでない方は、この機会に作成してみてはいかがでしょうか。
X(旧Twitter)アカウントの作成方法はこちら。
- 大牟田市 災害等緊急情報 【公式】Twitter
- 今回の災害時、重宝した大牟田市の公式Twitterアカウントです。Twitterに収まらない情報の詳細は、大牟田市のホームページへのリンクが記載されています。災害情報だけでなく、市の新型コロナウイルスの感染状況なども発信されています。
- 大牟田市ホームページ
- 豪雨災害の支援情報や新型コロナウイルスの感染状況など、大牟田市のさまざまな情報が更新されています。
避難時に必要なものについて
避難時に必要な貴重品を整理しておきましょう。水や衛生用品などの必要最低限のものを用意しておきます。避難所に行けば安心かと言うと、物資の供給が間に合わない、交通事情でしばらく届けられないことも。みなと小学校の例もあるようにまわりの道路が冠水し、物資が届けられないという状況も起こりえます。
- 基本的な防災グッズ
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- 防災ずきん/ヘルメット(黄色など目立つものが良い)
- リュック(両手が使えるため)
- 水/保存食
- 懐中電灯
- 手回しラジオ(手回しラジオには、ライトやスマホ充電機能がついているものがあります。ただ、ケーブルが対応していない場合は、スマホの充電ができません。変換アダプタで対応することもできますので、事前に確認しておきましょう。)
- モバイルバッテリー
- 寝泊まり/寒さ対策アイテム
- マスクや歯ブラシ、体拭きなどの衛生用品
- 日用品(ラップは紐の代用・防寒具・紙皿に敷いて節水・包帯の代用など、汎用性が高くおすすめです。)
- 非常用トイレ
- 救急セット
- 救難用ホイッスル
など
- 水災時にあると良いもの
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- 上下タイプのレインウェア
- スマホ用防水ケース
- 冠水時の足元確認用ステッキ/傘
など
- 震災時にあると良いもの
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- 防塵ゴーグル
など
- 防災セット
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防災グッズが一式セットになったバッグを用意しておくと安心です。
防災士が監修した防災セットを参考に、普段使っているものに変更したり、防災グッズを追加したりしてオリジナルの防災バッグを作っておくのもおすすめです。
防災グッズのなかでも、スマートフォンは連絡手段だけでなく、「情報収集」「ライト」「撮影機能」「メモの保存」など汎用性の高い便利アイテムです。手回しラジオの充電機能は、本当に緊急時のためのものとして考え、スマホ用のモバイルバッテリーを別途用意しておくと安心できます。日頃から携帯し、充電する習慣ができると、いざというときのための備えにもなります。
また、防災グッズのほかにも、お薬手帳や常備薬、貴重品や身分証などの各種書類も忘れないようにご注意ください。
災害時には焦りから、誤った判断をしてしまうこともあります。「あれも、これも」と詰め込んで容量オーバーしてしまったり、本当に必要なものを入れ忘れたりしてしまいます。そうならないためにも、事前に準備をしておくことが大切です。
災害時
命が最優先
災害時の必要最低限の行動を確認しておくことで、パニックを防いだり、被害を最小限に抑えたりすることができます。ただし、人命の安全を確保し、最優先とすることが大前提です。命より優先すべきものはありません。
2階への垂直避難などいつでも安全が確保できる場合を除き、可能な限り、早めの避難を心がけましょう。特にお年寄りなど足腰の弱った方などは道路の冠水などにより、安全に避難できるタイミングを逃してしまいます。
また、垂直避難が可能なお家でも、「浸水により家財が倒れて2階への階段を塞いでしまう」「川の決壊により、濁流で家ごと流されてしまう」などの事故も考えられます。安全な場所に、できるだけ早く移動するように心がけてください。
避難時の服装
避難時の服装は「帽子(ヘルメット/防災ずきん)」「長袖と長ズボン」「レインウェア」「ゴム軍手」「底が厚めの運動靴」など、動きやすい格好で避難します。長靴は水が入ると重くなり、歩きづらくなるので運動靴がベストです。また、レインコートよりも上下にわかれたレインウェアの方が強風に煽られにくく、動きやすいです。
必要なものをリュックに入れ、両手が使えるようにしておきます。防水タイプのリュックもありますが、濡れないように中身を密閉袋に入れておくと安心です。豪雨で声が届きにくい状況では、救難用ホイッスルも用意しておきましょう。
道路が冠水していると、水が濁って足元の安全が確認できません。側溝やフタの開いたマンホールなどは大変危険です。長い棒や傘などで歩く先を確認しながら移動しましょう。
膝下程度の冠水でも身動きが制限されて危険を伴います。また、足腰の弱い方や水の流れが速い場合など、単純な水位だけではリスクを把握しきれません。このような状況になった場合は救助要請をして助けを待つ方が安全です。できる限り余裕ある避難を心がけましょう。
避難時の最低限の行動
避難時には可能な限り、以下のようなことは済まして避難しましょう。
- 貴重品の持ち出し
- ブレーカーを落とす
- ガスの元栓を閉める
- 戸締まり
残念なことですが、こういった災害時には火事場泥棒の話を聞きます。また、ブレーカーは漏電して落ちる前に自主的に落としておいた方が、電化製品の故障や火災のリスクを抑えられます。
わたしの場合は、集中豪雨による水位の上昇が早く、近くの避難所のまわりも冠水していたため、2階に垂直避難することとなりました。緊急時の垂直避難ができない状況では、できるだけ早く避難することが先決です。
その時々の警報情報や「気象庁の高解像度降水ナウキャスト」などの予報を注視しながら、適切な判断が必要になります。今回のような集中豪雨では「10分、20分の間にみるみる水位が上昇し、状況が変わる」ということを念頭に置いておきましょう。
水の逆流を防ぐ水のう
トイレや洗面所、洗濯機や浴室などの排水口からの逆流を防ぐため、水のうで塞ぎます。水のうは45リットル程度のゴミ袋を2重にし、できるだけ空気が入らないようにしながら、半分ほどの水を入れて口を固く結びます。
水の量が多いほど、重みで逆流を抑え込む効果は高くなりますが、今回はとっさに作ったので余裕がありませんでした。トイレは15リットルの小さめのゴミ袋で代用しましたが、きちんと逆流を防ぐことができました。避難時にも余裕があれば、排水口を塞いでおくと「床上浸水していないのに床が水浸し」という事態を防げます。
また、水のうは2階の排水口も忘れずに塞いでおきましょう。
というのも、実は1階の対処にドタバタしている間に、2階のトイレに水が逆流。溢れる寸前になっていたからです。危うく2階が水浸しになるところでした。
すでに逆流が始まってしまっていたので、便器が水でいっぱいに。そのまま水のうを置いても水が溢れてしまうので、溜まった水をバケツでゴミ袋に移し、水かさを減らしつつ、水のうを作ってフタをしました。
水のうは逆流を防ぐだけでなく、土のうと同じように玄関などにも敷き詰めておくと、浸水を遅らせる効果が期待できたという事例もあります。
床上浸水には「水のう」が有効! 外からの浸水と逆流を防いで…水害経験者のTwitter投稿に反響(まいどなニュース) – Yahoo!ニュース(リンク切れ)
残念ながら今回の豪雨では、大量の水のうを作る暇もなく、軽微な浸水ではなかったため効果も期待できませんでした。また、水のうを置いた場所は水が使用できなくなったり、通れなくなったりする点にも注意が必要です。「水圧で玄関が開かなくなる」といった状況も考慮し、事前に避難用の通路や窓の確保をしておきましょう。
少量であれば、水のうを作るにはそれほど時間はかかりません。しかし、集中豪雨では5~10分程度でも状況が変わります。予報次第では、前もって作っておくのも対策のひとつです。
ブレーカー&ガスの元栓チェック
避難時はアンペアブレーカー(サービスブレーカー)を切って避難しますが、2階への垂直避難では安全ブレーカーを個別に切って対処することができます。
ブレーカーはそう何度も触るものではないので「細かいことは忘れてしまった」という方もいらっしゃるのでないでしょうか。そういった方は一度確認してみてくださいね。
ブレーカーには上記のように、使用上限のアンペア数が記載された「アンペアブレーカー」、漏電した際に遮断する「漏電遮断器(漏電ブレーカー)」、トイレ・エアコンなどの各部屋に細かくわかれた「安全ブレーカー」があります。
しかし、自宅にはアンペアブレーカーがなく「漏電遮断器」と「安全ブレーカー」、そして「温水器用のブレーカー」の3種類でした。近年では、漏電遮断器がアンペアブレーカーの役割を担い、スマートメーターに移行されることが増えているそうです。そのため、アンペアブレーカーがないケースもあります。
できる限り1階部分に関わる安全ブレーカーをすべて落とします。アンペアブレーカー(もしくは漏電遮断器)を落とせば間違いないのですが、夜は明かりがないと作業がしにくいため、安全ブレーカーを個別に落とす方法を取りました。
まず最初に温水器や食洗機、エアコンなどの安全ブレーカーは切っておくこと。電化製品はショートして電源が落ちるよりも、先にブレーカーを落としておく方が、故障するリスクを抑えることができます。
特にエアコンや温水器の室外機は屋外にあるため、最初に浸水被害を受けやすい家電です。早めに安全ブレーカーを落としておきましょう。避難時にはメインとなるアンペアブレーカー(もしくは漏電遮断器)を落として避難します。自宅はガスの使用はありませんでしたが、使われている方は忘れずにガスの元栓も締めておきましょう。
基本的にブレーカーはスイッチを上げると「入」、下げると「切」になります。ただ、自宅の安全ブレーカーは上の列は下に下げると「入」になる設計でした。
また、「ON」「OFF」「入」「切」などの文字ではなく、赤背景に「I」が「入」、緑背景に「○」が「切」です。なんとなく赤が「切」のイメージがあるのですが……(わかりづらい……)。
ブレーカーは高い位置に設置されていることが多く、脚立などがないとオンオフの確認や、安全ブレーカーの割り振りが見づらいです。あらかじめ、スマホで写真を撮っておくと良いですね。たまたま、災害の少し前にブレーカーを触る機会があったので、スムーズに操作できましたが、長年触っていない方は一度確認をおすすめします。
消毒用エタノールの注意点
浸水するまでにできるだけ荷物を2階に避難させたのですが、ものを運び過ぎて爪と指の間が腫れて痛くなりました。浸水してからも少し運び上げましたが、軍手を用意できず不衛生であったり、重いものを何度も運ぶことで負荷がかかったりして化膿してしまったようです。水が使えないため、消毒用エタノールをかけまくっていたことも原因かも。
さらに、足にかけた消毒用エタノールがフローリングのワックスに反応し、床に白いシミまで作ることに。普段は足にエタノールをかけるなんてことはないので「なんじゃこりゃ」という感じでした。
こういった場合には、少し水で濡らしたメラミンスポンジに、少量のベビーオイルをつけてこするときれいになるそうです。掃除する余裕もなかったため、3日ほど経ってからやりましたが、なんとかきれいになりました。
フローリングの加工方法によっては最適な方法が異なるかもしれませんが、打開策が見つからない場合はお試しを(もちろん、フローリングにかからないようにするのが一番です)。ベビーオイルやメラミンスポンジは100円均一でも購入できました。
水の浮力に要注意
床上浸水すると畳が浮き上がり、畳の部屋は足場が機能しなくなります。また、床下収納は収納用のプラスチック容器が、水の浮力でフタごと押し上げられていました。フタが外れると落とし穴のようになるため大変危険です。
床下収納の作りにもよると思いますが、収納容器が外れるのであれば事前に取り出しておいた方が良いでしょう。床に点検口がある場合も同様に注意してください。
窓からだと水がどこまで来ているのか正確にはわかりませんが、床下を覗ければ浸水度合いのチェックができます。通常、ベタ基礎と呼ばれる基礎がコンクリートで囲まれたものでは、床下に水が入りこむことはないため、水が入ってきた段階で2階への避難を検討された方が良いと思います。
フローリングの床は接着されているため浮くことはありませんでしたが、防水カーペットがテーブルを持ち上げる勢いでヒラヒラと水になびいていました。
そこそこ重みのある椅子は倒れ、カラーボックスは本の重量に耐えきれず破損、ダンボール類は水で破れて中身が散乱。今回は深いところで床上70cmほどでしたが、浸水が進んでいれば冷蔵庫や大きめの本棚なども倒れてしまっていた可能性があります。
余裕があれば垂直避難させたいもの
安全ブレーカーで1階部分の安全ブレーカーをすべて落とし、2階部分はトイレをのぞいて普段と同じように使うことができました。
被災後の生活でも便利な電化製品は、できるだけ2階に垂直避難させたいです。特に電気ケトルや電子レンジは、カップラーメンやレトルト食品を作ったり、お湯を沸かしてタオルで体を拭いたりできたので重宝した家電です。
普段から断捨離を
重くて運びにくいものは危険がともないます。特に雨が浸水してからは足をとられたり、水に濡れて足を滑らせたり、危険性も増すため、無理のない範囲で浸水する前に移動させましょう。
また、普段から不要なものは捨てることも備えのひとつです。押入れにものが多いと、必要なものの選別に時間がかかってしまいます(わたしです)。
濡れた写真の応急処置
最近はデータ保存の時代ですが、写真アルバムなどをお持ちの方は、押入れの奥にしまっていることが多いのではないでしょうか。お金では買えない大切なものは、垂直避難が可能であれば移動させたいもののひとつです。
今回の浸水では寄せ書きが濡れてしまい、思い出が滲んで消えてしまいました……。
濡れてしまった写真は水で洗い、干しておくと被害を抑えられますが、被災時にはそんな余裕はありませんよね。透明のフィルムに写真が入っているような場合、水が抜けきれずにカビだらけになってしまいます。
応急処置として濡れたアルバムは洗濯バサミなどで広げて乾燥させて、大事な写真は念のためスマホで撮影しておきましょう。
災害後の対応に関する記事
さいごに
わたしも初めての経験で何をしたら良いのか、全くわかっていない状態でした。また災害後も、どのような支援があって、そのために何をしたら良いのかも手探りの状態です。可能な限り公式の情報をまとめましたが、情報精査だけでも大変でした。
離れて暮らす、おじいちゃんやおばあちゃん……ハザードマップや避難所について詳しくないかもしれません。もしもの時にどうしたら良いか、近くの方からサポートしてあげてくださいね。
また、緊急時にはお年寄りに関わらず、情報を探る余裕がありません。災害が起こる前に、できる限りの備えをしておきましょう。
あなたの備えが、きっと誰かの助けにも繋がるはずです。
更新履歴
- 2020年10月6日
- 災害後の対応に関する記事を分割しました。
- 2021年7月14日
- 避難勧告の廃止に関する情報を追記・変更しました。
- 2023年6月30日
- Twitterの閲覧がアカウントの作成が必要になったため追記しました。
- 2024年8月29日
- 避難所に関するリンクの更新と、大牟田市 防災リアルタイム情報のリンクを追記しました。